リゾート意識の抜けない沖縄移住者に地元の人が困る?実態と関係なくウワサされるわけ
※記事の情報は執筆時点のものとなります(8年前の投稿)
沖縄移住をネットで調べると、移住者と地元人の対立がネタに上がっていたりしますよね。
対立…、怖い響き。でも対立なんてしてるんだっけ?
少しそのことについて、考えかたを書いてみましたのでご紹介します。
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リゾート意識の抜けない移住者が困る?
沖縄移住してから地元のいろいろなかたと話していると、稀に移住者に対して強い意見を持つ人もいると聞きます。
- のんびり暮らすためだけに沖縄移住する人が多い
- 青い海を見て、のんびりしたいだけ。その姿勢の移住者は歓迎しない
- そういう人は飽きるとすぐ地元に帰る
- しかも帰った先で「沖縄はどこどこが悪い」などと言いふらす
- 悪いところばかり吹聴されるのでこちらとしても困る
ちょっと極端に書きすぎました。
頑固親父の意見みたいですが、話の筋だけ言うと、こんな話です。
まさにこれは「リゾート意識の抜けない移住者像」です。悪口まで言いふらして問題児やん。こ、こんな奴いるのか…。というか、私もこういう風に思われてるのか…。これは沖縄にいにくい。
沖縄の”生活”がリゾートなんて誰が言った?
この意見、言ってしまえば「沖縄だからって全員リゾート暮らしなわけないじゃない!」って話です。暮らす人の立場に立って考えるとすぐ理解できますね。
沖縄だって、生活者はみんな普通に一生懸命、働いている人々なのです。
例えば、会社で自分が懸命に働いている横で、ずっとハンモックに横たわって、リゾートみたいにのんびりしてる同僚や部下がいたら「何だあいつは? 私はこんなに働いてるのに。一体、何様なんだ!?」そう思いますよね。
「沖縄移住者 = 会社でリゾートみたいにしてる同僚」
そう思うと、怒りの理由が、もっともだと思えます。
移住者だって働かないと生きていけない
さてもちろん、移住者だって勘違いを本気でしているとは思えないです。
お金持ちで悠々自適を求めてきた人は別ですが、沖縄に移住して来た人の多くは生活するために働きます。別に移住者特権があるわけでもなし、むしろ地元人の方が土地の勘もあるし働くには有利です。私の周りの知り合いだって、移住してからずっとバカンス状態の人なんて一人として存在していません。
移住者だって、働きもせずのんびりしていたら生きていけないです。当然ですよね。
ではなぜ、「リゾート意識の抜けない移住者像」が存在するのでしょうか。
移住者イメージにギャップがある
個人的な意見ですが、どうも、移住の際に、ちょっとしたコミュニケーションのあやがあるようなのです。
「リゾート意識の抜けない移住者像」の原因は、沖縄移住希望者がもっている理想や夢の部分にあります。
地元の人は、「南の島でのんびり」に反応するらしい
「南の島でのんびりしたい」
この台詞がまさにギャップの始まり。
沖縄移住したい人からすると、まぁ他意のない普通の一言ですよね。でも沖縄で生活している人々からすると、「南の島でのんびりしたーい」といった理想と、実際の沖縄生活とでは、ギャップがあり、これに反応してツッコミを入れたくなるのです。
「リゾート」は暮らしではなくサービス
そもそも沖縄へ旅行に来た人が想像する「のんびり南国生活」は、ほとんどの場合、南の島のリゾートサービスを受けている状態の延長のことを指します。
当然のことですが、リゾートはサービスによってゆったり・のんびりとした雰囲気が成り立っています。波の音が聞こえる部屋も、整った空調も、広いプールも、南国のカクテルも、気持ちの良いBGMも全部サービス。
南の島に来ただけだと、南の島で「のんびり生きる」ではなく、「懸命に働いて生きる」が自然な流れ。
「南の島=のんびり暮らす」ではないので、どうしてもギャップが生まれてしまいます。
静かな”ツッコミ”がステレオタイプを育む
語られた理想のこそばゆさ
私も沖縄生活3年目にしてなんとなくわかってきましたが、移住者(移住希望者)が無防備に発する「南の島でのんびりした〜い」の、この声。
地元の人からすると、「将来は正義のヒーロー(もしくはお姫様)になりた〜い♪」って言っているレベルのこそばゆさを感じさせる、そんな響きがあります。
悪気はないですよ!私も言っていますし。
ただ自然と、
- 南の島でのんびりした〜い
- → 南の島でリゾートみたいにずっと暮らしたーい
くらいの脳内変換が勝手に起こるんです。
住んでいると「南の島」と「のんびり暮らす(リゾート)」が、連動しなくなってくるのです。
南の島は南の島。
リゾートはリゾート。
だから、「リゾートみたいにずっと暮らしたーい」と、言葉を脳内変換して受け取るようになってくると、やっぱり「そんなのが出来るなら俺がやりたいわい」って心のどこかで思っちゃいます。
繰り返されるツッコミを再現してみます
さて、さすがに地元の人だって移住者のいうセリフが、あくまで「理想」なことくらい頭では分かっています。理想は、みんなにあって当然のもの。自分にもある。それが分かっているので、要らぬツッコミなど言葉には出しません。
心の片隅で”静かなツッコミ”をいれます。
(沖縄は南の島だけど、のんびりできるかは、また別だよね。)
それで終わり。
でも「沖縄移住したい」と言う人は、誰もが誰も、同じようなワードを必ず言います(私含む)。
この反復がかなり効くのです。
再現してみましょう。
「沖縄でのんびり暮らしたいと思いまして♪」
「いいですね!」(南の島と、のんびりはまた別だけど。)
「南の島っていいですよねー、ゆっくり時間が流れてて..」
「最高ですよ。」(まぁでも時間はどこでも同じ流れよね。)
「沖縄素晴らしいですよー。のんびりしてて」
「のんびりしてますよねー。」(全部が全部のんびりではないんだけど。)
「私もそろそろ沖縄みたいなところでゆっくり暮らしたいなと思いまして」
「なるほどー。」(沖縄とゆっくりは必ずセットにはならないけど。)
「沖縄サイコー☆超ぃやされる♪住みたィ」
「それは良かった☆」(癒しと暮らしはまた別だけど。)
「沖縄みたいな南の島でのんびり暮らせたらなぁって」
「理想ですよね。」(南の島とのんびりは必ずセットにはならないけど。)
「沖縄に住めたらマジでのんびりして生きるわ」
「おーなるほど。」(なぜ沖縄に住むだけで、のんびり暮らせちゃうのか。)
「南国沖縄へ引っ越す!のんびりライフを実現するときがきた!」
「念願のスローライフですね!」(沖縄に来る前からのんびりライフすればいいのに。)
「もう沖縄とか南の島行ってのんびり暮らそ」
「のんびりしてください。」(暮らさないで、リゾートステイがいいと思う。)
「将来は沖縄でのんびりとした暮らしをしたいです。」
「いいですねぇ。」(働き盛りで住んでくれてもいいけど。)
「定年後は沖縄移住しての〜んびり♪」
「セカンドライフですね。」(ファーストライフで住んでくれてもいいけど。)
「もう沖縄とか住んだら働かないよね♪笑」
「のんびり生きるよね。」(どうやって生きていくのだろうか。)
「もう疲れた。沖縄に一人移り住んで静かにゆっくり暮らしたい。」
「疲れてますね。」(そのまま移住すると、もっと疲れる気が..。)
「沖縄移住したら、やっぱりのんびり暮らせるんですかね?」
「うーん、人によりますね。」(みんなそうは思っているが。。)
「沖縄とかのんびりしていて住むのに良さそう!」
「沖縄いいよー。」(沖縄とのんびりは、また別物だけど。)
…(永久に続く)。
なんとなく体感できたでしょうか。
だんだん、他意のない純粋な一言に、他意を見出してしまう汚い自分がいます。
繰り返しってすごいです。ほとんど無意識みたいなツッコミでも、100回も1000回も繰り返し、さらにこれを数十年も繰り返せば、いつの間にかリゾート意識の抜けない移住者像が出来上がってしまうのも無理ないように思います。
そんなわけで、結局、「リゾート意識の抜けない移住者像」は、多くの場合、心の片隅にあったイメージが蓄積されて出来上がったステレオタイプなイメージなのでしょう。
移住者は、移住の過程でつい理想を語ってしまう
さて、このステレオタイプなイメージがどこで育まれるのかというと、移住者が沖縄に移住してくる過程です。
不動産屋さんとか、会社の関係者とか、友達とか、移住直後の自己紹介とか。
「なんで沖縄にきたんですか?」と聞かれた時に伝えませんでしたか?
「いやー海がきれいで、自然も豊かで、時間ものんびり流れててー。最高ですよね」とか言いませんでしたか?(私は言いまくってました)
それ自体なんにも悪いことではないです。
住んでいる人も沖縄のことを評価されると嬉しいです。
一方で、沖縄県内でまさに今、懸命に働いている人もたくさんいるので、そういった発言を蓄積することによって、ステレオタイプなイメージが定着しやすい状況も存在するのです。
こればっかりは分かっていても仕方ないというか。なかなか難しいですね。
イメージと対立しているだけ
よくある移住者と地元住民の対立は、お互いの実存在に対して起きている話ではなく、お互いのコミュニケーション過程で育まれたイメージに対して起こっていると言えます。
お互いに冷静さをもっていれば、深刻な対立は起きないものですし、もし対立的な人が現れても、上に書いたような状況を踏まえれば「お互いさま」で乗り切れるはずです。
でも、移住者が素直に理想を語れば、地元の人にちょっとした色眼鏡が生まれ、地元の人が色眼鏡を語れば、自然と移住者が「なんだなんだ」と、今度は勝手な沖縄のステレオタイプなイメージを育むわけです。
その状態で、ちょっと心当たりがあることをネットとかが大袈裟に書く。すると、お互いに敏感に反応して警戒してしまう。
こんなことが実際に起こるのです。
なんともはや。
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