オカヤドカリの棲む環境
※記事の情報は執筆時点のものとなります(6年前の投稿)
オカヤドカリは、名前の通り陸棲のヤドカリ。生息する環境も海のヤドカリとはちがって、特徴があります。
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オカヤドカリの生息分布(日本)
オカヤドカリは亜熱帯性の気温に適応しており、気温が15度以下になると成体活動が鈍り冬眠状態になります。また冬眠といっても仮死状態なので、それが長く続くと死んでしまいます。
そのため、日本では九州地方以南で生息できる生きものです。
- 小笠原諸島
- 四国南部
- 九州南部
- 南西諸島
- 紀伊半島南部の沿岸(無効分散)
※2023年追記……千葉県の館山エリアや、神奈川県の三浦半島エリアにも無効分散個体が見られるようです。
主にオカヤドカリを見られるのは上のエリア。
このうち、紀伊半島南部の沿岸で見つかる個体は無効分散だと言われています。
- 無効分散ってなに?
- 生物が生息環境を拡大するときに起こる分散の方法。
海に流された個体が、海流に乗って別の陸地へ漂着することで生きものは生息地を広げます。
「無効分散」は、漂着はしたけれど繁殖がうまくいかず定着しないことを指します。
オカヤドカリは、15度を下回ると活動が鈍るため、亜熱帯のような気温でないと冬を越せず、繁殖できません。
オカヤドカリの棲む環境
海岸付近の砂浜や、茂みに生息しています。
海岸線から1km以上離れた内陸にも生息していることがあります。
オカヤドカリの種類の中でも、ムラサキオカヤドカリやナキオカヤドカリは、海岸付近に多く、オカヤドカリはそれよりも内陸の林のような場所に多いです。
オカヤドカリは雑食性で、条件が合いさえすれば比較的どの場所でも生息している感じです。
そのため、護岸工事された場所や、ゴミの多いエリアにでも棲息していたりします。
こんな場所でもオカヤドカリをたくさん見かけます。
もちろん住めるからといって生きるのに最適な場所ではありません。
オカヤドカリがゴミを宿貝にしてしまったり、プラスチックを餌と間違えて食べてしまうなどは聞いたことのある話です。
ゴミに囲まれて生活するオカヤドカリを見るのはなかなか切ないです。
ゴミは世界中どの場所でも問題になりますが、どうにか少しずつでも減って欲しいものです。
オカヤドカリが好んで潜む「アダン」の木
沖縄などに自生する植物で「アダン」という木があります。
海岸沿いなどに密生して生える植物で、これがオカヤドカリに隠れ家として好まれます。
アダンは赤くて丸い、パイナップルのような実をつけます。
これがオカヤドカリたちが好んで食べる餌となるので、隠れ家兼、食料の木なんですね。ヤシガニもアダンを好んで食べるようで木に登ってアダンを食べるそうです。
ちなみにアダンの実、見た目とはウラハラに、人間が食べるとおいしくないです。
ちょっとパイナップルを想像しちゃうんんですけど、スジだらけでぜんぜん甘くもないし、とてもフルーツとしては食べられません。
ヤドカリたちはよくこれを好んで食べれるなぁと不思議に思えます